子は親の鏡
先日、同居人の甥に会う機会があった。
会うのは2度目くらいかな?
とはいえ1度目はだいぶ前だしまだ2歳半の幼児にとっては初めましてに等しいだろう。
自分自身が人見知り爆発タイプの子どもで他人がとにかく苦手だったから、警戒されたりするのは想定内だったのだけど、彼は一切そんな素振りは見せず、お気に入りのおもちゃを見せてくれたり、これは赤、これは黄色と色を教えてくれたりした。多分いつも周りに褒めてもらっているのだろう。その姿が可愛くて私もしっかり褒めておいた。
中でもカルチャーショックだったのは、同居人の家族とカラオケに行った際のこと。
彼は同居人の家族や私が歌うと、
すごーい!じょうず!!
と褒めて回っていたことだ。
しみじみ、この子はいつも周りにポジティブな言葉をかけられて生きているのだろうと考えてしまった。
いつも自身がかけられている言葉が出てくるのだろう。
私は小さい頃から褒めるのも褒められるのもとても苦手だった。
感情が分かりづらいとか薄情だ冷たいだ色々言われてきたけれど、よく考えたら貶されて育ったのだから当然だ。
そして自分も音痴だなんだと貶されるのではないかと気づいたら親の前で鼻歌すら歌わない子どもだった私は、このままの綺麗な心で育ってくれと心底思った。
それと同時に、自分が親になるなら本当に気をつけなくてはいけない。散々映ってしまった親の姿をさらに子に映すことのないように。
早く消さないと。
それから。
私には血族の配偶者にあたる、血縁関係のない叔母(伯母)が二人いる。父方に一人、母方に一人。
母方の伯母は理想の母といった感じで、遊びに行ってもいつも優しくしてくれた。この家に生まれたかったと100万回は思ったかもしれない。
対して父方の叔母は正直嫌な奴だった。
風邪を引いた娘(私から見れば従姉。そして彼女はその叔母の連れ子)を連れて帰省しては当時まだ乳児の弟にうつって毎度大変な目に遭っていたのに、悪びれる様子もなく。
下に叔父叔母夫婦の実子となる長男が生まれてからは、猫可愛がりしている息子が私たちに何をしようと知らん顔で。武器のおもちゃで叩かれたり暴言を吐かれたりした。
それ以外にも嫌いな食べ物をドヤ顔で料理し出されたり。
まぁ何となく「他人」を感じていた。
子供ながらに私や弟はこの女からしたら血縁のない他人だしなんの感情もないんだろうと思っていた。
正直感染に関してはそんな従姉が来ていることを知りながら自分の身内だからと祖父母の家に連れていく父も父だけども。
血縁的には他人の私たちにも優しい母方の伯母を聖母のような人と解釈し諦めていた。が。
いや同居人の甥普通に可愛いぞ。赤ちゃんのうちは風邪ひいて会ってはいけないとか手洗ってからいこうとか普通に思ったし、やることなすこと可愛い。
薄情な人間と言われて育った自分が、ちゃんと血縁はない同居人の甥(まぁいつか自分の甥に鳴るかな)を可愛いと思えることがちょっと意外でもあり。
可愛いと思う方が普通なのかもしれない。そして自分が「普通」側に居られることに微妙な安心感を覚えた。
言われたマイナスな言葉に支配されて薄暗い人間になっていただけなのかもしれない。
まずは自分はそんなに悪いやつじゃないと思い込むことで、本当に悪いやつじゃなくなる一歩になる気がした。
ポジティブな思い込み。難しいけど少しずつやりたい。